R&B/SOULは現在も進化し続けている。
現代のR&B/SOULを「ネオ・ソウル」と呼ぶが、この言葉は多分に感覚的というか、レコードを売り出す・紹介するための業界用語であって、そうカテゴライズされているアーティストの間でも賛否両論ある。
その源泉を辿ってみた際、よく比較対象に挙がるのが、、ダニー・ハサウェイ、カーティス・メイフィールド、マーヴィン・ゲイ、スティーヴィー・ワンダーらを中心に70年代初頭に沸き起こった新しいソウルのムーヴメント「ニュー・ソウル」だ。
一般にその特徴は、現在のネオ・ソウルがそうであると言われるように、自作自演で、パーソナルな感情を押し出した音楽とされる。
だが当時の感覚だとニュー・ソウルは70年代に入って登場した文字どおりの「新しいソウル全体」を指すもので、フィリー・ソウルをはじめ、アル・グリーンやアイズレー・ブラザーズなどの音楽も含めて、そう呼ばれていた。
そういう広い意味での「ニュー・ソウル」からの影響を強く感じさせたのが、SOLOやディアンジェロ、エリカ・バドゥ、エリック・ベネイ、マクスウェル、トニー・リッチといった、90年代中盤に登場した自作自演派のR&Bシンガーだった。
彼らのどこか孤高な佇まいはまさにダニーやカーティスらを連想させるもので、やがてそれらはニュー・ソウルの間にクラシックを挟んだ「ニュー・クラシック・ソウル」というタームで括られるようになる。
彼らはプリンスやシャーデーなどからの影響も色濃く、こうした現在進行形の音楽体験を通して彼らは過去(70年代)のソウルに自分たちのルーツを見い出すようになった。
その後「ニュー・クラシック・ソウル」という言葉は影を潜め、世間では彼らのような音楽を「オーガニック・ソウル」などと呼びはじめた。
「有機的」という意味合いを含むこの言葉は、言ってみれば黒人のルーツ、つまりアメリカ南部やアフリカなどを想起させる土着的で天然な佇まいの自作自演アーティストの音楽を指す。
インディア・アリーやローネイ、ドニー、エンダンビといった米南部を拠点に活動する人たちの音楽こそ、まさにそうした呼び名に相応しい。
一方、これとほぼ同時に使われはじめたのが「ネオ・ソウル」というタームなのだが、こちらも感覚的な言葉で、あえてオーガニック・ソウルとの対比を図るなら、ネオ・ソウルは都会色を前面に出したニュー・クラシック・ソウルとでもいった感じなのだが、こうした分類はあくまで便宜上のものに過ぎない。
以後メインストリームR&Bに対するアンチな姿勢を強めながら、オルタナティヴな志向のアーティストの登場を促していく。
さらにはソウル回帰的なアリシア・キーズの成功もあってか、R・ケリーやアッシャーらのメインストリーム・アクトも部分的とはいえ、ネオ・ソウル的なアプローチを試みていたり、ネリーなんかのラッパーにしてもそうしたグルーヴを追求していたりと、今や「ネオ・ソウル」はアンチでも異端でもなく、現在のシーンの王道でもある。
今日はそんなネオ・ソウル・シンガーの中から「アリシア・キーズ」の名曲をお届け。
by JELLYE ISHIDA.
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