2024年3月30日の午前2時47分、BBCニュースは『Marvin Gaye:Never-before heard music surfaces in Belgium/マーヴィン・ゲイ:ベルギーでこれまで聞いたことのない音楽が浮上』と題し、 “ マーヴィン・ゲイによる『これまでに聴いたことのないデモ音源 (未発表のデモ音源66曲の音楽が収録されている30本の古いカセットテープ)』がベルギーで発見された ” と、『如何にも真新しい、最大のスクープ』として報じた ‼
マーヴィン・ゲイは1981年2月14日からベルギーのオステンドにおける18か月の滞在中に、作曲家からアーティストに転向した「チャールズ・デュモリン」と同棲しており、滞在させてくれたお礼として、ベルギー出国時にデモやステージ衣装、手書きの手紙などのアーカイブを残してくれたと言われている。
デュモリン家で何十年も保管されていた『マーヴィン・ゲイの贈り物 (これまでに見たことのないコレクション)』の中には、 “ 未発表のデモ音源66曲の音楽が収録されているとされる30本のカセットテープ ” のコレクションのほか、舞台衣装、コンサート公演の進行指示書、レコード会社に宛てた怒りの手紙、新曲の歌詞の下書き、そして個人的な思いが詰まったノートなどがタイプされている。
● 贈り物とされるコレクション (全216点)
1. デモ音源を収録した30本の古いカセットテープ
(約13時間分の音楽に相当、未発表のデモ音源66曲の音楽が収録されているとされ、そのうち38曲はマーヴィン・ゲイ自身の声が入っており、その38曲の中には、Sexual healing/セクシャル・ヒーリングの誰も聞いたことのない8つのヴァージョンが収録され、そのほか20曲もの未発表音楽も含まれている)
2. 約50点の衣装とアクセサリー
(スーツ 5 着、ジャケット 6 着、チョッキ 4 着、シャツ 8 着、カジュアル衣料 6 着、ズボン 6 着、アクセサリー15個)
3. タイプされたコンサート公演の進行指示書
4. レコード会社への怒りの手紙
5. 新曲の歌詞の草稿
6. 個人的な思いが詰まった120冊を超えるユニークな回想録
ベルギーにはどんな財産であれ、それをどのように取得したとしても、30年後にはその所有者になれるという法律があり、デュモリン氏の家族が所有者になる可能性は高いようだが、知的財産には適用されないため、楽曲を出版する権利はない。
また、二人が他界しているため、『贈り物』とされる話の信憑性が疑問視されると同時に、未発表音源の法的権利がどこにあるかということが焦点になり、現在は音楽業界と著作権を専門とするベルギーの弁護士でデュモリン氏の家族のビジネスパートナーでもある『Alex Trappeniers (アレックス・トラペニアーズ)』が、『知的財産 (楽曲を出版する権利)』に関係するゲイの遺産管理団体や相続人であるゲイの子供たち3人の弁護士との交渉に当たっている ‼
● BBCニュースの独占インタビューに関する特集
【特集】マーヴィン・ゲイによる『これまでに聴いたことのないデモ音源 (未発表のデモ音源66曲の音楽が収録されている30本の古いカセットテープ) 』をベルギーで発見 ‼
【 特集の各項目 】
・プロローグ
・ベルギーに40年以上隠されていた『マーヴィン・ゲイの贈り物』
・BBCの報道と他の現地ベルギー国内報道を比較検証
・マーヴィン・ゲイを救ったベルギーの町
・マーヴィン・ゲイを救ったオステンド時代の友人
・80年代で最も成功した楽曲『セクシャル・ヒーリング』
・論 考 Ⅰ:“ 真説 ”『セクシャル・ヒーリング 物語』の誕生
・論 考 Ⅱ:そして物語は『マーヴィン・ゲイの暗号物語』へ
・論 考 Ⅲ:マーヴィン・ゲイの『スピリチアュルな混乱』
・エピローグ
しかし、ベルギーで発見されたマーヴィン・ゲイが所有していた音楽テープ、衣服、書類等の『非常に貴重なコレクション』は、今回の報道 (BBCニュース及びその他の報道) に先立って、既にベルギーの弁護士でデュモリン氏の家族のビジネスパートナーでもある『Alex Trappeniers (アレックス・トラペニアーズ)』がプロデュースする Webサイト『MARVIN GAYE IN BELGIUM (ベルギーのマーヴィン・ゲイ):2024 Collection Mestdagh (2024 コレクション メストダー)』において、2023年8月28日に作成・公開されている ‼
Webサイトのトップページには、『MARVIN GAYE IN BELGIUM/ベルギーのマーヴィン・ゲイ』との「タイトル」と共に、非常に控えめな「サブタイトルとキャッチフレーズ」が掲載されている・・・。
マーヴィン・ゲイが所有していた衣服、音楽テープ、書類のコレクション。
1982 年に6か月間住んでいた家を離れる際に、彼はメストダー家にそれらのコレクションを寄贈した。そこは、ベルギーに住んでいた頃に、新しい曲を作り、バンドのリハーサルをした場所だった。
全コレクションは、以下の Webサイト『MARVIN GAYE IN BELGIUM (ベルギーのマーヴィン・ゲイ):2024 Collection Mestdagh』でご覧頂ける。
● HOME – MARVIN GAYE IN BELGIUM
[2024 Collection Mestdagh – Produced by Alex Trappeniers]
そして現在、Webサイトのインフォメーションにおいて、「50点の衣類とアクセサリーからなるこのコレクションが販売されます。オークションハウスと販売日は近々このウェブサイトで発表されます。このWebサイトをフォローするか、lex.trap@skynet.be までご連絡ください。」と告知されている。
● INFORMATION – MARVIN GAYE IN BELGIUM
[2024 Collection Mestdagh – Produced by Alex Trappeniers]
ソウルのスーパースター『マーヴィン・ゲイの生涯』を振り返るとき、真っ先に思い浮かぶのは当然ベルギーではない。
ほとんどの人はそのつながりを知らない ‼
ここに来る前、マーヴィンはどん底にいた。彼がここを去った後、再びどん底に落ちた・・・。
1981年2月14日からベルギーにおける18か月の滞在は、マーヴィン・ゲイの人生において極めて重要な時期であり、オステンドの風が吹きすさぶ遊歩道は、数百万ドルのレコード契約の背景となった。
しかし、この旅行はマーヴィン・ゲイのキャリアを再燃させることになるが、同時に彼を狂気と非業の死に導くこととなった。それはいみじくも、1982年10月にベルギーを去った18か月後の出来事であった・・・。
オステンドは、彼に最後の休息を与え、もう一つの逸品を作るための創造的な息抜きの場を与え、その声に『最後の魔法』をかけさせた。
1982年10月リリースのシングル曲『Sexual Healing (セクシャル・ヒーリング)』は、マーヴィン・ゲイのカムバック曲 (最後の名曲)であり、史上最高のラブソングのひとつと考えられている名曲がここで生まれたことは十分にふさわしい ‼
● 80年代で最も成功した楽曲『Sexual Healing』
彼のキャリアで最大の成功を収めた『セクシャル・ヒーリング』は、1982年11月1日に生前リリースされたマーヴィン・ゲイの最後となる17枚目のスタジオ・アルバム『Midnight Love (ミッドナイト・ラブ)』に収録され、いくつかの音楽業界の賞を受賞した。
1983年2月23日、第25回目を迎えたグラミー賞の舞台の袖にマーヴィン・ゲイは立っていた。
過去にもグラミー賞にノミネートされたことは何度かあった・・・。
1969年には「I Heard It Through the Grapevine/邦題:悲しいうわさ」が、1972年には「What’s Going on/邦題:愛のゆくえ」や「Save the Children」がノミネートされ、以後「Let’s Get It On」、「I Want You」と新作を発表する度に会場に足を運ぶも、彼はただの一度も『グラミーの栄誉』を手にしたことはなかったのだ ‼
羨望(せんぼう)と悔しさを抱きながら、20年以上も追い求めていた賞の授賞式、黒のタキシードに黒の蝶ネクタイ、胸にはシルクの白いポケット・チーフを覗かせながら、マーヴィンは中継のTVカメラに向かって満面の笑みを見せていた。
そして遂に、『セクシャル・ヒーリング』によって、マーヴィン・ゲイは初となる「最優秀男性R&Bボーカル・パフォーマンス」と「最優秀R&Bインストゥルメンタル・パフォーマンス」を含む2つのグラミー賞を受賞したのであった ‼
1984年のグラミー賞では、アルバムはマイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」に敗れ、最優秀男性R&Bボーカル・パフォーマンス賞にノミネートされた。
アルバム最大のヒットシングル『セクシャル・ヒーリング』は前年に2つのグラミー賞を受賞したが、マーヴィンが生涯で受賞したのはその一度だけであった・・・。
最終的に『セクシャル・ヒーリング』は、全世界で600万枚以上を売り上げ、1980年代で最も成功したR&Bシングルとなった ‼
ベルギーの海岸沿いにある小さな街「オステンド」は、マーヴィン・ゲイの「アーティスト (音楽人生)」にとっての再帰と栄光を掴むに至ったカムバックヒット曲「セクシャル・ヒーリングの誕生」と共に、彼の晩年人生と音楽の旅を描いた魅力的な章として、キャリアのハイライトを飾る『マーヴィン・ゲイ空前の伝説物語』の終わりに向けたかなり興味深い脚注でもある ‼
そして、1984年4月1日にマーヴィン・ゲイはこの世を去った・・・。
しかし、彼の『声(スピリット)」と歌(ソウル)』は未だこの世を去ってはいない ‼
by JELLYE ISHIDA.
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