3歳ですでにゴスペル・シンガーとして教会でデビューを飾ってからは、ピアニストとしても腕を上げ、「音楽神童」の名を欲しいままにし、高校卒業と同時に芸術で奨学金を受けてハワード大学に入学した『ダニー・ハサウェイ』の声には気品がある・・・‼
ダニー・ハサウェイは、正式なクラッシックの音楽教育を大学で学びながら、夜は街に出てジャズ・トリオで演奏していたのは有名な話であるが、ジャズやクラッシックから学んだ洗練されたコードや表現が、彼の声にも表れている。
大学在学時からスタジオ・ミュージシャンとして活動し、その仕事が急増したため大学を途中で辞めなければならなくなった。その後、アトランティック・レコード傘下のアトコ・レーベルと契約して2枚のアルバムを出したが、あまりヒットはしなかった。
ところがミュージシャンの間では評判がよく、スティーヴィ・ワンダーは何十枚も買い込んでアルバムを友達に配り回っていたという話もあるくらいだ。
3枚目のアルバムをライヴ・アルバムにしたらどうかと提案したのは、アトランティックのプロデューサー、ジェリー・ウェクスラーだった。そして1971年にロサンゼルスのハリウッドにあるザ・トルバドゥールと、ニューヨークのビター・エンドの2カ所でライブ・レコーディングが行われた。
録音を担当したアトランティックのプロデューサーのアリフ・マーディンは、「ダニーのライヴに口コミで集まって来た観客のほとんどが、教養のある洗練された人たちだった」と振り返っている。
ダニー・ハサウェイのアルバムでは『LIVE』が、彼の歌の素晴らしさを一番表しているとされるが、『Extension of a Man』におけるその貪欲な挑戦の中にも彼の歌の可能性、まさに伸びていく過程が感じられる。
晩年は心を病んでいたとも語られるダニー・ハサウェイが最後に残したアルバムが、1973年にアトランティック・レコードのアトコ・レーベルからリリースされた『Extension of a Man』だが、この時点で、これがラスト・アルバムになるなんて誰が思えただろうか❓
カヴァーにも定評のあるダニーの歌だが、「I Love You More Than You’ll Ever Know(溢れ出る愛を)」は、アル・クーパーによって書かれたブラッド・スウェット・アンド・ティアーズの楽曲で、片思いの切なさをブルージーに歌い上げている。
ブルーズ色が強くても泥臭くならないのは、ダニーの声の持つ気品によるところだろう。ダニーの伸びやかなヴォーカルは、時に切なく震え、聴く者の心の奥にまで突き刺さる・・・‼
それでは、ダニーがカヴァーする「I Love You More Than You’ll Ever Know(溢れ出る愛を)」の貴重なライブヴァージョンである1971年~1973年収録の3曲と、スタジオ録音の2曲(MonoとStereo)を存分にお聞き頂きたい。
by JELLYE ISHIDA.
・Live at The Bitter End (NYC 1971)
・Live at The Troubador (Los Angeles, CA 1971)
・Live at The Hampton Jazz Festival Hampton Coliseum (Hampton Virginia USA June 1973)
・I Love You More Than Youll Ever Know [Extension Of A Man 1973 (Mono)]
・I Love You More Than Youll Ever Know [Extension Of A Man 1973 (Stereo)]
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