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The Roots music. VOL.4:【 音楽ファーンの「常識」を刷新 /(新)R&R史 】

The Roots music. VOL.4:【 音楽ファーンの「常識」を刷新 /(新)R&R史 】

 

【 音楽ファーンの「常識」を刷新 /(新)R&R史 】

前回の投稿では、1954年に黒人ヴォーカル・グループ『The Chords(ザ・コーズ)のSh Boom(シュブーン)』がビルボードのポップス・チャートで5位に上がり、そうした傾向が「ロックンロール(R&R)」を準備し、この曲のヒットが「リズム&ブルーズ(R&B)」の人気を決定づけ、その後のニューヨークの音楽産業の戦略に大きく影響を与えたことを紹介した・・・。

実はそれだけが特筆すべきことではなく、1950年代のヴォーカル・グループ全盛期においての合唱スタイルはその当時、『Doo-Wop(ドゥワップ)』などと呼ばれていなかったのだ‼

それはひとつのサブジャンルとは認識されておらず、「リズム&ブルーズ」、「ロックンロール」、あるいは「オールディーズ」の下位に属する特定のスタイルとして捉えられていた。

1992年、ドゥワップ愛好家によって執筆された「Anthony J.Gribin and Martthew M.Schiff, Doo-Wop : The Forgotten Third of Rock’n Roll」には、この用語が最初に用いられた事例として、黒人コミュニティ向け新聞『シカゴ・ディフェンダー誌』の1961年3月18日の記事を引用しているが、1958年4月5日にすでに『ビルボード誌』がこの語を用いてる。ただし、ドゥワップのスペルは「Do Wop」と記載されている。



現在までに、『Doo-Wop(ドゥワップ)』に関するまとまった学術研究はそれほど多くないが、シカゴのシーンについては「Robert Pruter, Doowop : The Chicago Scene(1996年)」、さらにワシントンDCやボルティモアのシーンについては「The Social and Cultural Organization of Black Group Vocal Harmony in Washington.D.C. and Baltimore, Maryland in 1945-1960(1992年)」に詳しい・・・。



また、『ロックンロール』の名称においても、1951年当時にオハイオ州クリーヴランドのディスク・ジョッキー「アラン・フリード」が自らの番組を“ムーンドッグズ・ロックンロール・パーティ”と名付けたことが、のちにジャンル名として定着しただけでなく、ロックンロールはもともと、「黒人英語のスラング」でセックスやダンスを意味しており、1930年代以降の「リズム&ブルーズ曲」の題名に頻繁に用いられている。

なお、ハーバード大学アフロ=アメリカ研究科の学科長を務める音楽学者「Eileen Southern」によって1971年に執筆され、その後も版を重ねる黒人音楽史の定番「The Music of Black Americans: A History, (1997年版)」には、『最初のロックンロールのレコードは、ザ・コーズのシュブーンである』と明記されている。(※曲を聴きたい方は前回の投稿を参照)



つまり、これまでのアメリカ音楽史における「常識」は、もはや『新たなコンテクスト(文脈)』によって刷新されなければならない事実が多くあり、これまでのようなステレオタイプのポピュラー音楽史では見えてこない『真実と盲点』、あるいは、音楽を含む芸術・文学の『批評理論の価値と限界』がここに来て浮き彫りになってきている。

by JELLYE ISHIDA.

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