今日まで、不世出のソウル・シンガー「サム・クック」と同等の才能をそうそう探し出せる訳もなく、私はいまだもって欠乏症のままだ。
サムと言えば、「Harlem Square Club」のライブ盤でみせた、あの破壊力や高揚感、即ちサザン=ディープ・ソウルの先駆者としてのサムを愛する向きは多いだろう。
しかし私は人とは少し違い、サム円熟期の亡くなる前年(1963年8月)にリリースした、RCAでの通算8作目にして、クックの10枚目のスタジオアルバムにあたる『Night Beat (ナイト・ビート)』に心を惹かれた・・・。
● ソウルの創造神誕生を告げる作品『Night Beat』
1963年2月、本作はハリウッドのRCAビクター・スタジオで行われた深夜のレコーディング・セッションにおいて3日間で収録された・・・。
演奏は、ルネ・ホールを中心に、ハル・ブレインのドラム、クリフ・ホワイトのベース、バーニー・ケッセルのギター、さらには弱冠16才だったビリー・プレストンのオルガンなど、いわゆるレッキング・クルーの陣容が揃っている。
最初のレコーディング・セッションは2月22日に行われ、「I Lost Everything」、「Get Yourself Another Fool」、「Trouble Blues」を収録。
翌日には「Nobody Know the Trouble I’ve Seen」、「Mean Old World」、「Little Red Rooster」、「Laughin’ and Clownin’」をレコーディングした。
最後のレコーディング・セッションは2月25日に行われ、「Lost and Lookin’」、「Please Don’t Drive Me Away」、「You Gotta Move」、「Fool’s Paradise」、「Shake Rattle and Roll」をテープに収録した。
スモール・グループをバックに、チャールズ・ブラウンの作品を始め、Tボーン・ウォーカー、ビッグ・ジョー・ターナー、ハウリン・ウルフらの曲に加えて、新旧のゴスペルソングなど、彼のフェイヴァリット・ソングや自身のオリジナル曲を歌ったブルージーな作品は、まさしくソウルの創造神誕生を告げる作品のひとつであり、全ソウルファンが一生のうち一度は訪れる聖地のような一枚である・・・。
そして、この静かで優雅なアルバム『Night Beat (ナイト・ビート)』ほど、彼の最も美しく魅惑的な声を聴けるアルバムはなかったと言えるだろう ‼
特にそのアルバムの中の一曲、ジョー・ターナーの代表作「Little Red Rooster (リトル・レッド・ルースター)」を歌っているが、非常にシンプルで、純粋にサムの魅力を知る事ができる。
by JELLYE ISHIDA.
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