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UKソウルの可憐な花一輪『Lianne La Havas(リアン・ラ・ハヴァス)』

UKソウルの可憐な花一輪『Lianne La Havas(リアン・ラ・ハヴァス)』


 

ジャジーでグルーヴィー、フォーキーさとソウルを備えたオーガニックな佇まいで一躍注目を集める英国のシンガー・ソングライター『リアン・ラ・ハヴァス』。

ギリシャ人の父、ジャマイカ人の母に間に生まれ、メアリー・J.ブライジやジル・スコットなどとステージを共にしていた母に影響され、わずか7歳の時に歌手の道を目指し始めたと語っている。

18歳の頃にギターを学び、パロマ・フェイスのツアーにてバックアップ・シンガーとしてキャリアをスタートさせた彼女が淡々とつま弾くアコースティック・ギター、その優しく柔らかな歌声で醸し出すメロウな空気感はまさに秀逸と言える。
 

 
2011年10月にデビューEP『Lost & Found EP』をリリース。 そんな彼女が表舞台の注目を集めるきっかけとなったのは、2011年10月に出演を果たした英国の老舗音楽番組『Later… with Jools Holland(ジュールズ倶楽部)』。

真っ白なワンピース姿に短めに持った黒のギター。キュートな表情でスモーキーでジャジーな曲を聴かせた彼女はたちまちメディアの注目を浴びることになっただけでなく、同じ番組に出演していたBon Iverの北米ツアーに呼ばれるというチャンスをもつかんだ。
 

 
2012年7月に晴れてデビュー・アルバム『Is Your Love Big Enough?』をUKでリリース、英アルバム・チャート4位を記録し、iTunes UKが選ぶ「Best of 2012」にてAlbum of the Yearに選出され、マーキュリー賞やアイヴァー・ノヴェロ賞にもノミネート。英国のみならず、アメリカや日本でも高く評価された。

 


 

2015年にはジャジーでグルーヴィーなセカンド・アルバム『BLOOD』をリリース。

セカンド・アルバムでは、アリシア・キーズインディア・アリーなどのプロデュースを手掛けたマーク・バトソンがプロデュース等で参加している。

デビュー・アルバムから本作の間で、アーティストとしても一人の女性としても大きく成長したリアン。その彼女の最新作『Blood』は、ジャマイカとギリシャの血を引く彼女が、自身のルーツにインスパイアされた作品だという。

 


 

彼女の持ち味は、オルタナティブなオリジナル曲での歌唱に表出していることは勿論のこと、カヴァー曲においてはより一層の魅力と独自性、そして表現力の豊かさがことさら際立っている。

世界恐慌の影響による「狂騒の20年代」でローリング・トゥエンティーズ(Roaring Twenties)の終焉の時期にあたる1931年のスタンダードナンバー “Dream a Little Dream of Me(わたしを夢見て)” のカヴァーでは、エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングが一番有名であるが、21世紀の現代においてリアン・ラ・ハヴァスは見事に、当時の歌唱と表現を超越(超えて含む)して見せる。
 



 
また、バート・バカラックとハル・デヴィッドによる著名なポピュラーソング “I Say a Little Prayer(小さな願い)”は、1967年にディオンヌ・ワーウィックが初めて歌い、アレサ・フランクリンが1968年のアルバム『アレサ・ナウ』でこの曲を取り上げ大ヒットするなど、多くのシンガーがカヴァーするこの曲においては、「ともすればリアン・ラ・ハヴァスのために用意されていた楽曲だったのでは!」と、大袈裟に語りたくなるほどエレガンスに歌い上げている。

 


 

さて、リアンに関する最新の活動状況について触れておきたい。

2012年にスティーヴィー・ワンダーの「くよくよするなよ!」などの人気曲を、マルチスクリーンレイアウトで構成された個人制作動画でカバーし、YouTubeにアップした動画が話題となるほか、才能溢れるミュージシャンを流動的に組み合わせて、ジャズやR&Bからワールド・ミュージックまで音楽シーンを自在に横断していく音楽コレクティヴとして多方面から注目を集めているスナーキー・パピーが、ニュー・アルバム『Family Dinner Vol.2』でフィーチャーした天才少年「Jacob Collier(ジェイコブ・コリアー)/ 1994年8月2日生まれの25歳 」の名を今や知らない者はいないだろう。

 

【 Jacob Collier(ジェイコブ・コリアー)】

 

彼についての詳細(また改めて紹介したい)はともかく、大物ミュージシャンも彼を絶賛し、まずはジャズ畑から台頭を果たしつつあるが、ヒップホップやビート・ミュージックなど同時代の最先端をフラットに吸収したセンスも卓越しており、独自のパフォーマンスをステージ上で再現するためにマサチューセッツ工科大学とタッグを組むなど、新世代らしいサクセス・ストーリーは加速する一方だ。

2018年10月29日、コリアーは『ジェシー(Djesse)』というタイトルの4巻50曲構成の音楽プロジェクトを発表し、『ジェシー Vol. 1』は2018年12月7日に全曲がリリースされた。翌年の2019年7月19日には『ジェシー Vol. 2』がリリースされ、そのアルバムにてリアン・ラ・ハヴァスとのコラボレーションをフィーチャーしている。


 

ここでの音楽世界では、単に “素晴らしい音楽が奏でられている” といった一般的(従来の)「芸術的批評」では語ることができぬほどの、芸術に対するまったく新しい「真の価値と意味」を包含している。

その「核心」あるいは「革新性」に迫るためには、従来型の論考や批評ではもはや不可能と言っても過言ではない。つまりは、これまでの批判・批評理論では通用しない、まったく次元の異なる音楽芸術に到達したことを明確に指し示す作品(アーティスト)であると断言したい。(※ その詳細についても今後叙述したい)

特にジャズ周辺における「進化・変容」について多少周知する必要があることから、当サイトのThe R&B of essence. VOL.13『新世代ジャズ・シンガー “ José James(ホセ・ジェイムズ)”』を参照していただきたい。

最後に、リアンの最新作が5年ぶりに発売される。

アルバム名はズバリ『Lianne La Havas(発売予定日: 2020/7/17 )』である。

 


 


 

 
by JELLYE ISHIDA.

5.0 rating

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