【『芸術』という概念 】
今日われわれが普通に使用している『芸術』という概念は、もともと西洋の近代社会において成立した概念である。
近代の市民国家(西欧における啓蒙主義の勃興)においては、新しい理性的な宗教が求められ、その拠り所となったのは「アルス ( 科学、技術、芸術 ) 」であった。
イギリスやフランスではこのうち、特に 「科学と技術」が価値付けられ、一方、ドイツでは「芸術」が価値付けられた。
特に、近代ドイツでは以後、「芸術」が新たなる宗教的な位置にまで価値付けられていくことになったのである。
【 すべての芸術は音楽の状態を憧れる 】
新たなる神として位置づけられた「芸術」は、超越的であり、人間の世界から隔絶された、普遍なる存在であることが求められ、ここにおいて「芸術の自律性」が問われるようになったのである。
音楽でのベートーヴェンは、このような芸術を具現化しうる「天才」として代表的な存在となり、芸術は自律化の道を辿り、その規範は「音楽」に求められることになる。
【 芸術とはどこにあるのか 】
西欧における啓蒙主義の勃興に伴い、芸術の意味と、その性質に関して、二つの主要な理論が優勢となり、現在でも大きな影響力を発揮している。
この二つの理論が、17世紀から18世紀にその運動を開始した「合理性」と「ロマンティシズム」という流れから派生していることは、驚くべきことではない。それが芸術の分野に変換されたとき、それは「形式主義(フォーマリズム)」、そして「表現主義(合理主義とロマン主義)」と知られる流れになった。
そして、ここでの問題は、「いったい芸術とは何か?」というよりはむしろ、『芸術とはどこにあるのか?』という問いに変わっていったのである・・・。
では、『芸術の物語』を是非ともご覧頂こう。(つづく)
by JELLYE ISHIDA.
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